Devil's Night
 
「カネ?」


 カイが意外そうな顔をして聞き返す。


「相場は1億から1億5千くらいだけど……」


 渡米した場合の費用と変わらない金額に唖然としたが、それでも選択の余地はない。陽人は明日をも知れない状態なのだ。


「すぐには払えないの。けど、必ず払います。だから……」


 私の言葉を遮るように、カイがニッコリと笑う。


「僕は美月からカネをもらおうなんて思ってないよ」


 その穏やかすぎる笑顔に、なぜか背筋がゾクゾクする。

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