Devil's Night
けれど、私は饗庭省吾を好きになる。まるでそれが運命であるかのように。
『カイ。私、好きな人ができたの』
正直な気持ちを打ち明けた私に、カイはあの不気味な行為、彼が『悪魔の交わり』と呼ぶ口付けを強要した。その後、私は子どもをひとり授かることになる。が、そのたったひとりの子どもをカイに誘拐され、その命を奪われた。怒りと悲しみに支配された私は、落ちていたビール瓶でカイを刺した。
『潔癖な美月。まさか、自分が人を殺そうとするなんて、想像したこともなかったろ?』
カイは今と同じように血まみれになって、痛みで顔を歪めながら、
『お前は僕と同じ種類の人間だ。この地獄から抜け出したければ、僕を選べ』
と、迫った。
けれど、それは、全てに絶望していた私の心には響かなかった。私は、制止するカイを振り切って屋上の端に立った。そこで最後に、煌々と輝く満月を見つめたのを覚えている。