Devil's Night
 
 粗末なベッドに横たわるふたりの子供。カイとリアだ。遠くで聞こえる狼の鳴き声に怯えるように、リアはカイの手をしっかりと握っている。


「大丈夫だよ」


 カイは妹をなだめるように、彼女の髪を撫でながら、この子守唄を口ずさみ始めた。


 オルゴールの音と、記憶の中の声が重なって聞こえる。


――彼自身、不安だっただろうに……。


 こうやって、リア……つまり私は、カイに守られて育ったのだ。あの廃屋で……。
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