Devil's Night
あれからカイは現れない。
――やはり、自分の命で契約の不履行を償ったのだろうか。
そして、取り戻した、元どおりの駐在生活。陽人は相変わらず病弱だが、今のところ大きな疾患はない。絵莉花は日に日に大人びていく。何も変わらない。
ただ、今までと違うことがひとつだけある。それは、時折、庭にグレーの猫が来るようになったこと。その美しい迷い猫は、芝生の上に腰を下ろし、いつも寂しそうに鳴いている。記憶をなくしても、本能的にカイの姿を探しているのだろうか。 その一途な姿を見ていると、あのオルゴールから流れる懐かしい子守唄を聞いたときと同じように、私まで泣き出しそうになる。そして、思う。
―――カイに会いたい……。
Devil's Night 了__
