Devil's Night
 
「カイ。どうして何も教えてくれなかったの?」


 香織に教えられるまで、カイは、私生活に触れられたくない事情があるのだろうと思っていた。こんな廃屋にいつもひとりでいる彼に、恵まれた家庭があるはずないと勝手に思いこんでいたのだ。


「何もって?」


 目を開けたカイの、その深い眼ざしに、ドキリとする。


「お、お父さんのこととか……」


 彼は初めて見るような、皮肉な笑みを浮かべた。


「アイツのことか」


――アイツ?


「親なんて誰でもいい。けど、成人するまでは必要だろ? 保護者ってヤツが」


 それはとても冷たい言い方だった。やっぱり折り合いが悪いのだろうか。
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