Devil's Night
 
 社会的に地位のある親が、子どもにとっていい親だとは限らない。中学生の私にも、それ位のことはわかっていた。


「ごめん、話したくないんなら聞かない」 


「別に。両親のこと、嫌いとかじゃないよ。自分にとって一番、都合のいい人間を選んだつもりだし」


 選ぶ? 彼は大きな病院に引き取られた『養子』だと、香織が言っていたが、養子にされた子供の方が『両親』を選ぶという言い方はピンと来ない。
 カイの言っていることは、よくわからないが、当の本人は、どうでもいいことを話すように、淡々としている。彼がその話題に乗って来ないので、私は家庭の話を引っこめた。


「カイって北高の生徒会長なんだね。女の子に人気あるんでしょ?」

 
「興味ない」


 こっちの質問には驚くほど冷淡な即答。


「僕は美月にしか興味ない」


 初めてカイの気持ちを聞いた。ずっと彼に憧れていた私は、その言葉が嬉しいはずなのに、何だか素直に喜べず、戸惑っていた。

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