Devil's Night
 
 ゴーストアパートに通じる道に入った辺りで、背後に人の気配を感じた。
 ここは、ぽつんぽつんと街灯はあるものの、人通りが少なく薄暗い道。
 すぐ後ろに誰かいるような気がして、何度も振り返って見た。


――お母さんに車で迎えに来てもらえばよかった。


 後悔しながら足を早めたとき、細い路地からいきなり黒い影のようなものが飛び出してきた。


「あ……っ」


 心臓がギュッと縮んだように痛む。


「こんばんは」


 目の前に、ついさっき広場で見たダンサーのひとりが立っている。


 笑っていた。


 彫りの深い顔の男が、片方の口角を引き上げるようにして。


 私は声も出ないほど驚いて、後ずさりした。


「カノジョ、俺たちのこと見てたでしょ」


 今度は頭のすぐうしろから囁くような声がして、ギョッとする。
 最初に現れた男と双子のようにそっくりな男が、私の背中に密着するようにして立っている。


――怖い……。


 逃げ場を失った私は、ただふるえながらそこに立ちすくんでいた。
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