Devil's Night
「ちょっと遊んで行こうよ。ほら、おあつらえ向きのラブホもあることだし」
正面に立っている男が、ゴーストアパートの方に向かって顎をしゃくる。私は声も出せず、ただブルブルと首を振った。
「カタイこと言うなよ」
うしろでそう声がしたかと思うと、首の横でブツッと音がした。ハラリ、とセーラー服のスカーフが足元に落ちるのが見えた。えんじ色の化繊が、結び目の横で鋭く切り裂かれている。 おそるおそる自分の肩の辺りに視線をやると、ナイフの先端が冷たく光っていた。
叫びたいのに、体がふるえるばかりで全く声は出せない。