Devil's Night
 
 温かいゆりかごの中にいるような感覚があった。


「ん……」


 重いまぶたを上げる。意識が戻った私は、カイの膝に頭を乗せ、床に横たわっていた。


「カイ?」


 起き上がろうとすると、クラッと視界が舞い、頭の芯がズキリと痛んだ。その痛みで、失神する前の記憶が一気によみがえる。


「カイ! 助けて! 私……私……」


 押しよせてくる恐怖の記憶に錯乱し、私はカイに抱きついていた。
< 70 / 359 >

この作品をシェア

pagetop