Devil's Night
 
「カイ。警察に行こ。私も一緒に行くから」


 カイは黙って首を振る。


「だって、正当防衛でしょ?」


「僕が殺されそうになったわけじゃないし、ふたりも縛り首にしといて正当防衛は無理だよ」


 カイは恐ろしいほど冷静だった。


「美月を家まで送ったら、死体を片付ける。美月は何も心配しなくていいから」


 何でもないことのように笑うカイが怖い。
彼は私を助けるために人殺しになったのに、そのカイが恐ろしくて仕方ない。
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