Devil's Night
 
「ウソだろ  」


 私の説明を聞いた夫の顔が、みるみる表情を失い、青ざめる。


「私がいけないの! 絵莉花と一緒にトイレに入らなかったから!」


 強烈な後悔がわき上がる。


――私のせいだ。


 自分を責め、泣き続けることしかできなかった。


「どこのトイレ?」


 そう尋ねられたときにはもう、私は口が聞けないほど憔悴していた。
 けれど、
「答えなさい!」
と夫が怒鳴る顔を初めて見て、涙が引っこんだ。


「こっち……」


 私は立ち上がって、来た道を引き返した。
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