落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 〈魔法訓練の間〉に着くと、魔法の訓練を開始した。

「最近、魔力が増えてるから、正式な聖女になる日もきっと近いわ。頑張ってね、アイリス」

「ありがとうございます」

「じゃあ、聖魔石に魔力を流して」

「はい」

 聖魔石に手を当て、意識を集中させる。身体の中から湧き上がってくる魔力を感じて……、魔力を……、感じ……る……はずなのに。
 あれ? 魔力が湧き上がってこない。

「どうしたの?」

「あ、いえ、すみません。もう一度やります!」

 落ち着いて、大丈夫よ。
 私は深呼吸して、また魔力を手のひらに送るように集中した。……が、なにも感じない。焦りと不安で、額に汗がにじむ。

「ん〜、んん〜、ぐうっ」

 やっぱり駄目だ。なんの反応もない。どうして……?

「……アイリス、あなたもしかして、魔力が弱化してしまったのではなくて?」

「え? 弱化……?」

「えぇ、稀にある現象らしいの。魔力が段々と弱くなり、そして喪失してしまうことが」

 フェリシティ様の言葉に目の前が真っ暗になった。

「そ、そんな……」

「大聖女様に報告しなくてはいけないわね」

「……」
 私は呆然と立ち尽くし、訓練の間を出ていくフェリシティ様の背中を見送るしかなかった。



 その後、私は大聖女様の自室に呼び出された。

「聖女フェリシティから報告は受けています。貴方の魔力が弱化したと。それは本当ですか?」

「……はい」

 私は静かに頷いた。大聖女様の溜息が聞こえる。

「そうですか。貴方に提案があるのですが、しばらくの間、神殿を出てはどうでしょう?」

「神殿を出る?」
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