落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 自室に戻ると我慢していた感情が緩み、涙が溢れ出てくる。私はベッドに倒れ込む。

「うっ、くっ……」

 魔法が使えなくなってしまった。信じられなかった。
 もしかして魔力抑制魔法を解術してしまった影響なのだろうか? それともフェリシティ様の言った通り段々と魔力が弱化するという現象なんだろうか?

 大聖女様はしばらく神殿を出た方がいいと言っていたが、それってどのくらい? 一年? 十年? 一生?
 分かっている。魔力の無い者が神殿にいられるわけがないんだ。

 ふと頭によぎったのはライオネル様の姿だった。
 例え、ライオネル様に想いが伝えられなくても、私の魔法で傷を治している間は一緒にいられると思っていた。でも、それももう出来ない。

 もしかして私が欲張ったから、こんな結果になったの?
 このまま魔力が増えて正式な聖女になれたら、彼と釣り合うことができるかもしれないって。聖女らしからぬ邪な感情を抱いたから、バチが当たったの?

 瞼を閉じると、楽しかった日々が思い出される。
 人間離れした美貌で冷たい印象だったライオネル様。実は心配性で、世話好きで、金色の瞳の奥に優しさが隠れていた。一人で過去に苦しんでいた彼を少しでも癒してあげたかった。

『君に出会えて良かった』

 その言葉にどれだけ救われたか。私は生きていて良かったんだって、そう思わせてくれた。

 だけど、魔法の使えない私は――?
 私は枕に突っ伏して、涙が枯れるまで泣き続けた。


 
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