落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 私が声を掛けると、一人の使用人が部屋に入ってきた。

「失礼いたします。フォーレン副団長様がお見えになりましたので、本殿の方でお待ちいただいております」

 わっ、いらしたのね。緊張で身体が硬直する私の隣でエリゼは嬉しそうに笑った。

「お兄様が到着されたのですね! ふふっ、アイリス様のこのお姿をご覧になったら驚きますわ! ね? アイリス様」

「そ、そうかな……? そういえば、エリゼは私のことをアイリス様と呼ぶようになったの?」

「はい。アイリス様は正式な聖女になられたのですから、見習い聖女の私と同列とはいきませんわ」

「そっか、……そうなのね。でも、ちょっと淋しく感じるわ」

 エリゼの態度は前と変わらないが、呼び方一つでどこか距離を感じてしまう。

「私はアイリス様のことを、お義姉様と呼べる日を楽しみにしていますわ」

「お姉様?」

 言われた意味が分からず頭を傾げながら聞き返すと、彼女は意味ありげに微笑んで頷いた。

「はい。お義姉様です」

「? …………!?」

 その言葉の意味に気付いて、顔がカッと熱くなる。

「え、それはっ、その、まだっ」

「ふふっ。さぁ、兄が待っていますわ、参りましょう」

「はい……」

 笑顔のエリゼに促されて、私はライオネル様の待つ本殿へと向かった。
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