落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 本殿の柱廊玄関に到着すると、そこで待っていたライオネル様の姿に目を奪われた。
 黒地に金糸の刺繍を施した夜会服を纏い、首元には純白のクラバットを巻き、白い手袋をしている。その優雅で洗練された佇まいは、精悍な騎士服姿とはまた違った魅力があった。
 しばらくぼーっと見惚れていると、私に気付いたライオネル様の瞳が細められた。

「アイリス、久しぶりだな。……その姿、とても似合っている。綺麗だ」

 ライオネル様が優しく微笑んだので、恥ずかしくてこれ以上は目を合わせてはいられず顔を伏せる。

「あ……りがとうございます……。ら、ライオネル様もとても、す、素敵です……」

 緊張して声が震える。

「聖女に就任したんだったな、おめでとう」

「あ、はい……。ありがとうございます」

 魔伝言鳩では繰り返し聞いていたけど、久々に生で聞くライオネル様の声が身体に染み込んできて、きゅうっと胸が痺れた。

「そうだ、これを受け取ってくれないか」

 両手に乗るくらいのサイズの箱を差し出されたので、それを受け取る。

「え? これを私にですか? 開けてもいいですか?」

「あぁ」

 カタッと箱の蓋を開けると、そこには花をかたどった金細工の髪飾りがキラキラと輝いていた。この花には見覚えがある。
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