落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
「わぁ、キレイ……。これってアイリスの花ですよね……? あの、こんな高価な物をいただいてもいいんですか?」

「あぁ、君の為に作らせたんだ。君がもらってくれなければ困る」

「ありがとうございます……、嬉しいです……」

 胸がいっぱいになった。ライオネル様は箱から髪飾りを取り出すと、そっと顔を近づけ、私の髪に優しい手つきで付けてくれた。

「……思った通りだ。よく似合ってる」

「……ありがとうございます……」

 目線を上に向けると、思ったよりも至近距離でライオネル様と視線が交わる。
 月のような瞳に囚われて動けず、しばらく見つめ合っていると、

「あのぉ、お二人の世界のところを大変恐縮なのですが、そろそろ出発なさらないと夜会に遅れてしまいますわ?」

 エリゼに遠慮がちに声を掛けられ、現実に引き戻された。

「あっ、そ、そうですね……、はい」

「あ、あぁ、そうだな」

 周りにはエリゼの他に、ナタリーや他の使用人達がこちらを微笑ましそうに見守っていた。この空気、いたたまれない……。

「じゃあ、アイリス、行こうか」

「は、はい」

 ライオネル様に腕を差し出され、ぎこちなく右手を絡ませた。

「お二人共、楽しんできてくださいね」

 エリゼににこやかに手を振られる。

「いってきます」

 皆に見送られ、神殿を後にした。
 
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