落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 私を特別に思ってくれてるのではと錯覚しそうになるが、まだあの時のシャーロット様と抱き合う光景がずっと頭から離れないでいる。

 ……聞いてみる? 怖いけど聞くなら今しかないよね……?
 覚悟を決め、深く息を吸ってから口を開いた。

「私で良かったんですか? 他に誘いたい方とかいなかったんですか? あの、シャ、シャーロット様とか……」

「シャーロット? 誰だ?」

 私の言葉を聞いて怪訝そうな顔をしたライオネル様から聞き返されて、こちらの方が驚いてしまう。

「え、シャーロット・ケーシー様ですよ。この間、一緒に買い出し行きましたよね?」

「あぁ、ケーシー侯爵令嬢のことか。ん? 何で俺が彼女を誘わなくてはならないんだ?」

「だって! あの時、あんな親しげに抱き合っ……」

 そう言いかけて口を押さえた。まずい、見ていたのバレてしまう。

「あぁ、あれか。あれは事故のようなもので意味があるわけではないし、彼女に対して特別な感情はない」

「そうなんですか!?」

 それって、私の勘違いだったの? そうだったんだ……。
 ほっとして息を吐く。

「気になっていたのか?」

 ライオネル様の視線が真っ直ぐにこちらに注がれた。

「気になってたといえば、そうなんですが……、あ、いえ、何と言いますか……」

「どうして、気になるんだ?」

 まるで獲物を捕らえて放さないかのような、鋭い視線で追及される。

「どうしてって……、その……」

 言葉に詰まる。それは好きだからです! とは言えるわけもなく、無い頭をフルに回転させるが良い言葉は見つからない。私は苦し紛れに話題を変えた。

「えっと、それよりも王宮っていう――きゃっ」

 ガタンッ!

 その時急に馬車が音を立てて大きく揺れ、私の身体が前に投げ出された。

「大丈夫かっ」

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