落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 ライオネル様に身体を支えられ、どうにか体勢を持ち堪える。

「はい……、ありがとうござい――っ!?」

 なぜか私は息がかかるほど間近から、ライオネル様の顔を見下ろしていた。自分が彼の膝の上に乗っていることに気付き、頭が真っ白になる。
 近い近い近いっ。

「す、す、すみませんっ、すぐにどきます!」

 慌てて身体を退かそうとするが、掴まれていた腕に力が込められる。

「アイリス」

 耳元で囁かれて心臓が飛び跳ねた。

「――っ」

 僅かに熱を帯びた真剣な眼差しで見つめられて、息を呑む。瞳を逸らすことはできない。

「アイリス。俺は――」

 その時、コンコンと扉をノックされる。

「ライオネル様、王宮に到着いたしました」

 馬車の外から御者に声を掛けられた。

「あぁ、分かった。じゃあ、行こう」

 ライオネル様の手から解放されたので身体を戻すが、まだ心臓がドクドクと波打っている。

 今のは何!? なんて言おうとしたの!?

 ライオネル様の方に視線を送るが、何事も無かったような涼しげな顔をして馬車から降りていく。

 これから本番なのに、落ち着かないといけないわ。
 私は深呼吸をしてから、馬車の下でこちらに手を差し出している彼の手を取った。


 
 わぁ………、これが王宮……?

 そびえ立つ絢爛豪華な王宮に私は圧倒されつつ、その煌びやかな世界に足を踏み入れた。
 高い天井にはキラキラと輝くシャンデリアが幾つも並び、漆喰の壁には金の装飾が施されている。目に映るもの全てが眩しくて、めまいがしそう。

 音楽の演奏が流れるホールで、豪華な衣装を身に纏った多くの参加者達は歓談を楽しんでいた。
< 126 / 150 >

この作品をシェア

pagetop