落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 無事、任務を遂行しぐったりしてる私に、ライオネル様は労いの言葉をかけてくれた。
 後は自由にしていいとのことなので、早々にお暇させてもらおうかな……。

「折角なのだから、何か食べていったらどうだ?」

 ホールの一角に軽食コーナーがあって、そこには見たことないような豪華な食事が並んでいた。
 慣れないドレスにコルセットと緊張で、何も喉に通らないと思っていたが、ほっとしたらおなかがすいてきたかも。

「あ、そうですね。食べたいです!」

「じゃあ、行くか」

 二人で歩き出した時、初老の紳士に呼び止められる。

「フォーレン騎士副団長殿、暫し宜しいかな」

「閣下。ご無沙汰しております」

「例の砦について君の意見を聞かせてほしいのだが……」

 何やらお仕事の話になりそうなので、私がここにいたら邪魔だろう。

「ライオネル様、私はあちらで待ってますので」

 ライオネル様に小声で伝え、軽食コーナーの方を指し示す。

「あぁ、わかった。悪いな」

 私は笑顔を見せると二人から離れた。

「わっ、すごい、おいしそう! 何から食べようかな〜」

 並ぶ豪華料理を前に目移りしてしまう。
 すごい、豚が丸ごと一匹焼かれているわ。あ、この黒色の石のような物って、もしかして貴重なチョコレートでは!? すごい! 絶対食べる!

「ん〜、でも喉渇いたかも。先に何か飲もう」

 そう思って飲み物を探していると、後ろから声を掛けられた。

「アイリス。少しよろしいかしら?」

 振り向くと、そこには華やかな赤いドレスを纏ったシャーロット様の姿があった。

 私は思わず身構えてしまう。

「シャーロット様……」

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