落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 私は彼女から視線を逸らしバケツを起こすと、飛び散った床の水を雑巾で拭き取る。シャーロット様からのこういった嫌がらせは日常茶飯事だった。侯爵令嬢の彼女は、平民出身の私のことが気に入らないんだ。

「アイリス。あなた、先代の大聖女様に拾ってもらったからっていい気にならないで。魔力もろくに無いくせに、落ちこぼれは不要なのですわ!」

 シャーロット様は私の頭上から罵声を浴びせると、三人は礼拝堂を出ていった。


 パエンドール王国の人々は、火風水土などの魔力を持つ者も少なくはないが、特に貴重なのは聖属性だ。聖属性の魔力を持つのはほとんどが女性で、怪我や病気を治癒させる回復魔法を使うことができる。

 聖属性の魔力が認められた少女達は身分関係なくこの神殿に集められ、十三歳から見習い聖女として修行を開始する。そして、一定の魔力量に達することが正式な聖女になる為の条件だ。見習い聖女達のほとんどは成人する十六歳までには正式な聖女になっている。
 しかし、私は十八歳になるが未だ魔力が弱く、聖女として認められていない。

 私が故郷の村から王都の神殿に聖女候補としてやって来たのは、八年前の十歳のときだった。聖属性の魔力があるとたまたま分かり、先代の大聖女様に連れて来られた。
 
 先代の大聖女様に拾ってもらったこともあり、今も見習い聖女として神殿に置いてもらえているが、それも今後どうなるかわからない。

 でも、どうしても聖女になることを諦めきれない。聖女になることだけが、私の存在意義なのだから。


「あの……アイリス、私もお手伝いしましょうか?」


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