落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 雑巾を絞っていると控えめに声をかけられる。まるで小鳥のような澄んだ声だ。

 見習い聖女のエリゼ・フォーレンだった。
 彼女は半年前から神殿に仕えている。濡羽色の艷やかな黒髪、透き通るような白い肌で手足がスッと長く、大きな金色の瞳が特徴の美少女だ。まだ十三歳だが、落ち着いていて大人っぽく見える。
 私と同じ黒の聖女服なのに、彼女が着ていると優美に見えるから不思議だ。

「ありがとう、エリゼ。でも大丈夫よ」
 私は少し微笑み、彼女の申し出を断る。

 エリゼは公爵家のご令嬢だが高慢なところなどなく、 現在貴族ばかりの見習い聖女の中で、彼女だけはよく手伝いを買って出てくれる。でも手伝ってもらうわけにはいかないので断っているが、声をかけてくれるのはとても嬉しい。

 エリゼには、同じ見習いの立場だから敬称も敬語もやめてほしいと言われたんだよね。年下なのに、しっかりしてるわ。

 神殿では貴族も平民も平等であれという精神だが、実際は貴族の方が優遇されている。
 見習い聖女は本来、神殿内の掃除や洗濯などは修行の一環として行うのだが、貴族出身の見習い聖女達はすることはない。神殿の待遇も寄付金次第ということだろう。

 だから、私は神殿に勤めている使用人達と掃除や洗濯など行っている。
 まぁ、仕事は楽しいのでいいんだけどね。
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