落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
「え? そんな、申し訳ないですよ!」

 私はぶんぶんと両手を振って断る。元々は私が悪いのに、ライオネル様に気を遣わせてしまったようだ。
 ぐ〜っ。
 袋から食欲のそそるいい匂いがして、おなかが鳴ってしまった。
 私のおなかは正直だわ……、恥ずかしい……。

「腹が減っているのだろう? 遠慮するな」

「あ〜、あの……、はい。じゃあ、いただきます。ありがとうございます」

「あぁ」

 受け取った包み紙は温かく、開けると一口サイズの丸い揚げ菓子がコロコロと何個も入っていた。こんがりとした狐色で、表面には砂糖がまぶしてある。
 とってもおいしそう! 折角なので温かいうちにいただきます!
 私は一つつまんで口に入れた。

「わぁ、おいしい……」

 表面はサクッとして、中はふわっとした食感に、ほのかな甘さが口いっぱいに広がった。今まで食べた揚げ菓子の中で一番おいしい。

 それなのに、私の心はどこか物足りなさを感じていた。
 私が知っているものは、砂糖なんてあまり付いてなかったし、色だってもっと黒っぽくて、食感もべちょっとしてた。でも家族みんなで分け合って食べた、特別なお菓子。
 あれがまた食べたいって思うなんて……。

 心の奥から切なさが込み上げてくる。私は湧き上がる気持ちを誤魔化すように、口いっぱいに揚げ菓子を頬張った。
 その時、口にいっぱい入れた状態でライオネル様と目が合ってしまう。ライオネル様はじっとこちらを見ていた。

 わ、見られてるわ! 私は慌てて咀嚼する。

「……ふっ。くくっ」
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