落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 市場で買い物を済ませると、アンディさんが辺りを見回して言った。

「ところでアイリスちゃんさ。何か食べたい物ある?」

「へ? 食べたい物ですか?」

「色んな屋台あるし、好きな物言っていいよ〜」

 突然のことに戸惑ってしまう。
 何か買ってくれるってことかな? そんな初対面の人に奢ってもらうなんて悪いわ。まぁ、ライオネル様には奢ってもらっちゃったけどね……。

「いいえ、大丈夫ですよっ」

 私は両手を振った。

「遠慮しないでいいよー。どうせライオネルのお金だからね〜」

「ライオネル様のお金!?」

「そ。きっとアイリスちゃんがお腹空かしてるだろうから、何かおやつ買ってあげてくれってさ」

「は……」

 それってまだ子供扱い!? 恥ずかしさで顔が熱くなってくる。

「特に無いんだったらさ、俺が選んでもいい? 市場の屋台久々なんだよね〜」

「あ、はい。どうぞ」

「やった。何にしようかな〜。人の奢りって嬉しいよね〜」

 アンディさんもライオネル様の奢りらしい。青い瞳を子供のように輝かせて、鼻歌交じりに屋台を見回している。

「よし、あれにしよ〜。あ、荷物邪魔だな」

 アンディさんが持ってくれていた買い物の籠を持ち上げたので、私は受け取ろうと手を出した。

「すみません。私が持ちますので」

「あー、いいよいいよ。可愛い女の子に荷物持たせるなんてしないよ〜。まぁ見ててー」

 アンディさんはローブの中から黄色い紙のようなものを取り出すと、それを籠に貼り付けた。
 その黄色い紙がパタパタと動き出すと、籠が空中に浮かび上がる。まるで翼を羽ばたかせているかのような姿だった。

「わ、すごい! 鳥みたい!」
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