落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜

2 騎士様との出会い

「はい、こちらへどうぞ」
 
 私に声を掛けてきたのは、二人で神殿を訪れた騎士様だった。
 神殿では、騎士や貴族、一般の民など区別することなく、病気や怪我の治療を行っている。
 
 私は慌てて空室の札が下がっている処置室へ案内した。処置室は全部で十部屋、ドアのない半個室で、部屋の中には簡易的なベッドが一台ずつ置いてある。

「どうされましたか?」
「彼の治療をお願いしたい」

 付き添ってきたと思われる、黒髪で長身の騎士様が簡潔に言う。濃紺の騎士服を着ているので正騎士だ。二十代前半くらいだろうか。
 纏う空気がどこかひんやりしていて、私は背筋を伸ばす。

 負傷した騎士様は茶色の騎士服なので従騎士のようだ。幼さが残る顔は蒼白で、かなり痛そうに顔を歪めている。怪我をした腕には白い布が巻かれていたが、赤く血が滲んでいた。

「……副団長。お忙しい中、付き添ってくださって申し訳ございません」
「それはさっき聞いた」
 従騎士が謝ると、黒髪の騎士様は眉間にシワを寄せて溜息をつく。
「はい、すみません……」

 副団長様、厳しそうな人だな、と思って見つめていると、その騎士様に睨まれる。
 ――ひっ、何!?
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