落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 カーン、カーン……と、正午を知らせる鐘がなった。

「あ、もう昼食の時間になっちゃうわ。遅れちゃうからエリゼはもう行って。私も片付けたらすぐ行くからね」
「はい。わかりましたわ……」 

 まだ心配そうにしているエリゼだったが、私に促され礼拝堂から出ていった。

 ふと祭壇の方を見上げると、天を仰ぎ祈る初代大聖女様の石像が、ステンドグラスから注ぐ光を浴びて輝いている。
 彼女はパエンドール王国を魔物の脅威から護ったといい、人々からパエンドールの女神と呼ばれていた。

 ……パエンドールの女神かぁ……、……あれ?
 初代大聖女様の手の甲に、何か模様が彫られているのに気付いた。
「あれって何だろう? 花びらが何枚も重なったような……? ……って、掃除しなくちゃ!」
 私は慌てて雑巾を絞り直し、掃除を再開した。
 
  
 礼拝堂の掃除が終わる頃、ぐ〜っとおなかが情けない音を立てる。
「やっと終わったわ。はぁ、おなかすいた〜」

 その時、カーンと神殿で行われている午後の診察の開始を告げる鐘が鳴った。

「え、嘘! もうこんな時間!? うぅぅ、今日も昼食抜きかぁ……」
 涙目になりつつ、私は掃除用具を持って礼拝堂を後にした。



「聖女殿、治療を頼めるか?」

 神殿の処置室の前で声を掛けられた。
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