落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 ドクドクと鼓動が高鳴ってくる。
 いや、待って。リスのことだよね、きっと。びっくりした。落ち着け私。

「リ、リス……、可愛かったですよね。ライオネル様はお好きですか?」

「あぁ、まぁ、……そうだな。領地にいた時、よく庭園で見掛けたんだ。木陰で読書をしていると、木の枝の上によくリスが乗っていたな」

 ライオネル様は懐かしげに目を細めると、頭上を見上げた。

「そうなんですね」

 風が吹くと木漏れ日がゆらゆらと揺れる。キラキラと輝く日差しが、ライオネル様を照らした。
 
 やっぱり綺麗だな。

 出会った頃のライオネル様は温かみを感じず、まるで人形のように思えた。でも最近は笑顔も見せてくれるようになったし、顔色も良くなったような気がする。

「そういえば、君の回復魔法は他の聖女達とどこか違うのか?」

「え? 違う? 魔力が弱いからですか?」

 なんのことか分からず、首を傾げる。

「いや、そういうことではなく、性質とでも言うだろうか……」

「性質? 特に何も言われたことないですが……」

「ん……そうか、わかった」

 ライオネル様はまだ考え込んでいるようだった。

「君には話しておくが、俺の背中には魔物による傷跡が残っているんだ」

「え? 傷……?」

 知っていたとはいえ、突然傷跡のことを告げてくれるとは思わず、驚いて言葉に詰まってしまった。

「隠しているわけではないし、騎士にとっては珍しいことでもないが」

「そうなんですね……」

「大聖女様に定期的に治療を受けてはいるが、完治が難しいことは承知している。だから、一時だけでも和らげればいいと思っていたが最近……」

「最近?」
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