落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
「いや、なんというか、傷跡が治癒してきてるような気がするんだ」

「え? そうなんですか? それは良かったですね!」

「あぁ、そうなんだが。長年何も変化がなかったことが、最近になって急に変わり始めた」

 ライオネル様はどこか歯切れが悪く、まだ考え込んでいるような顔をしている。

「どういうことですか?」

「変化したのは、アイリス、君に回復魔法をかけてもらってからだ」

 ライオネル様は真っ直ぐ私の瞳を見つめて言った。

「へ? 私ですか?」

 大聖女様が治癒できないことが、私にできるはずがない。

「私の力じゃないと思いますが……。あ、きっと大聖女様の回復魔法の効果が出てきたのかもしれないですよ」 

「そうかもしれないが、俺は君の魔法で治療をお願いしたいと思っているんだ」

 ライオネル様の申し出に首を傾げた。すでにこうして回復魔法はかけている。

「え? 実践練習に付き合ってくださるって話でしたよね?」

「そうだ。手伝うってことで了承したが、今度は正式に俺の治療をお願いしたいんだ。頼めるか?」

 そういうことか。やる事は同じなのに、ライオネル様は真面目だなぁ。

「もちろんです。私ではどこまで治療できるか分かりませんが、精一杯頑張ります!」

「そんなに気負うことはない。今まで通りでいいから」

「はい……は、くしゅっ」

 くしゃみが出ると、ぶるっと身体が震える。段々と日が傾きはじめ、風が冷たくなってきた。

「冷えてきたな。そろそろ戻ろう」

「はい。そうですね」

 立ち上がって歩き出そうとした時。

「あ、アイリス」
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