落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 腕を振り払おうとしたが、力が強くて放せない。

「王都の神殿に来れば、聖女がどんな怪我も病気も治してくれるんじゃねぇのかよ! だから俺たちゃ田舎からわざわざ王都に来たんだ!」

「ごめんなさい。聖女でも治せないものはあります。特に魔物による怪我は完治が難しいんです」

 私は頭を下げた。しかし、男性の怒りは収まらず、私は胸ぐらを掴まれた。

「じゃあ、どーしろってんだ! 女房はこのままずっと苦しめっていうのかよ!」

 首を絞め上げられ、息ができなくなってきた。

「……うっ」

「やめろっ、手を放しなさい」

 門番たちも慌てて止めに入ってくれたが、男は言う事を聞いてはくれない。
 くっ、苦しい……。
 意識を失いかけたその時。

「その手を放せ」

 低く通る声が聞こえた。
 この声は……!

 私達は一斉に声の方を振り向いた。
 そこには一瞬で凍ってしまいそうな冷気を纏い、鋭い視線でこちらを睨んでいる氷の騎士様がいた。

 やっぱりライオネル様だわ……!
 彼の姿を見た途端に、私はほっとして泣きそうになった。

「その手を放せと言っているんだ」

 男はライオネル様の威圧感におののき、私をぱっと放した。私は地面に座りこみ咳き込む。

「アイリス、大丈夫かっ」

「けほ、けほっ……はい」

「聖女を暴行した罪で捕らえる。門番、捕縛しろ」

「はいっ」

「お、お待ちください、騎士様っ」
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