落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
「あぁ、そうだった。エリゼに用事があるんだ」

「エリゼですね。私、呼んできますよ!」

「悪いな」

「いえ、じゃあお待ちください」

 私はエリゼを呼びに向かった。
 

 自室にいたエリゼを呼びにいき正門に戻ってくると、ライオネル様の隣に白い聖女服の人がいた。遠目ではベールで顔がよく見えないが、何か会話している様子だった。

 誰だろう?
 ライオネル様が聖女と話しているところなんて見たことはなかった。胸の奥がざわつく。

 近づくとベールの横から銀色の髪が見えた。聖女は私とエリゼに気付き、こちらに振り返る。

 フェリシティ様……!?

「あら、いらしたようね。それでは私はこれで。ライオネル様、ごきげんよう」

「あぁ」

 フェリシティ様はライオネル様に挨拶をした後、私達に微笑んで去っていった。

 去っていくフェリシティ様の後ろ姿を見つめながら、私は自分の胸に湧き上がってくる靄のようなものを感じた。

「えっと、じゃ私は戻りますね!」

 私は湧き上がる気持ちを振り払うように明るく言って、その場を離れようとした時、

「あ、アイリス。後で私のお部屋に来てくださいませんか?」

 エリゼがそっと私の耳元で囁いた。私は驚いてエリゼを見つめると、彼女は優しく笑みを浮かべる。
 私は戸惑いながらもコクンと首を振った。
< 60 / 150 >

この作品をシェア

pagetop