落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
「それならいいのですが……。私の魔力を調べてどうするんですか?」

「ん〜、どうするかはまだ分からないけど、君の回復魔法はどうやら魔物の傷に効くらしいっていうからね。ちょっと興味あるんだよね〜」

「魔物の傷に効く……?」

 私は首を傾げる。確かにライオネル様は私が治療したら、傷跡が治ってきていると話してくれたが、にわかに信じがたかった。
 私が考え込んでいると、ずっと黙っていたライオネル様が声をかけてきた。

「君は先日、神殿の前で御婦人の傷の治療を行っただろう。俺はそれで確信したんだ。しかし、君が嫌だというなら無理強いはしない」

「ライオネル様……」

 ライオネル様の瞳にはこちらを気遣うような優しさが見えた。
 もし本当に私に魔物の傷を治癒できるというなら、そんな嬉しいことはない。調べてみて損はないよね。できなくても、それが普通なんだし。私は覚悟を決めた。

「私、やります! よろしくお願いします!」

「うん、わかった。検査は特段難しいことはないよ〜。少しの間、棺の中で寝ててもらえればいいから。検査中、少々魔力を採取するけど、気分が悪くなったら中から叩いてくれればいつでも中止するからね〜」

「はい、わかりました」

 アンディさんに説明を聞き、恐る恐る棺に横になった。
 棺の中は思いのほか広く、ベルベット生地のクッションはふかふかしていて、私の部屋のベッドよりも寝心地がいい。

「寝心地はどうかな? 何か気になることはある?」

「いえ、大丈夫です」

「そっか、オッケー。じゃ蓋を閉めるね〜。いってらっしゃーい」

 アンディさんが徐々に蓋を閉じていく。隙間からライオネル様の心配そうな顔が見えたので、私は大丈夫と伝えるように笑顔を見せる。そして蓋が完全に閉まると、目の前が闇に包まれた。
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