落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
「前に……、聖女になれば人々を救えて、私のように辛い思いをする人を減らしたいとお話ししたことは、覚えていますか?」
「……あぁ、覚えている」
「立派なこと言いましたけど、実はあれは嘘なんです。自分だけが生き残ってしまった罪悪感を消すために、ただ人助けの真似事をしてただけなんです。……だからずっと見習いのままなのかな。ふふっ、情けないですよね」
私は自虐的に笑う。
「……それは違う。自分を卑下するな。俺は君の言ったことが全て偽りだとは思わない。それは君の行動を見てきて分かっている」
「そんなことは……」
「君がどうして罪悪感を抱いているのかは分からないが、君が生きていて良かったと思っている人達がいることを忘れるな」
「私が生きていて……?」
ライオネル様を見つめると、金色の瞳が優しく揺れている。
「少なくとも、俺は君に出会えて良かった。それにきっとエリゼもそうだ」
胸がぎゅっと締め付けられて、また泣きそうになった。私が顔を歪めたのでライオネル様は狼狽えている。
「どうした? やはりまだ具合が悪いのか!?」
私は慌てて首を振る。
「いえ、いえ、違うんです。嬉しくて……。ありがとうございます……」
ずっと心の奥にあったしこりのようなものが、スッと解けていくようだ。
『幸せになってほしいのですわ』
エリゼが涙ながらに語ってくれたことを思い出した。
「私も……」
「え?」
「……ライオネル様が……生きていて……、出会えて良かった……です」
ライオネル様が一瞬目を見開いたがすぐに瞼を伏せ、
「……そう……か……」
消え入りそうな声で呟いて、また窓の外を見つめた。