落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
「おう、そうか、すまんすまん。で、話を戻すが、魔力抑制魔法は至近距離で微力な魔力で行えば、相手に勘付かれることはない。無属性であるし、術自体も簡単な術式なんだ。しかし問題は誰が行ったのかということだな」

「そうだよね~。禁術なのに」

「禁術!?」

「そうだ。昔、百年程前らしいが、魔術師団の魔術師の間で悪用が多発し問題になったんだ。まあ、ライバルを蹴落としたいという至極簡単な理由だが。それから禁止され、魔法術式の記された文献は厳重に管理されている。だから魔術師団でも一部の者しかその存在を知らないし、使用を許可されているのは魔術師団長のみ。つまり私だけだ」

「そうなんですか……」

「その私とて簡単に行えるわけではないよ。上等魔術師三人以上立ち会いの元でしか出来ないんだ。な、ライオネル?」

「えぇ、確かにそうでしたね」

 なんでライオネル様が知ってるんだろうと、不思議に思って見ていたら、私の視線に気づいたライオネル様が説明してくれた。

「実は俺にも魔力抑制魔法がかけられている」

「え? そうなんですか?」

「あぁ、騎士団に入る俺には膨大な魔力は必要無いからな」

 そういえばお母さんが亡くなって、魔術師になるのをやめて騎士団に入ると決めたんだったよね。エリゼが話してくれたのを思い出した。

「そうだな、まずは確認してみるか。お嬢さん、ちょっと失礼するよ?」

「え、はい」

 団長様が何か呪文のようなものを唱えると、私の身体が光り始めた。

「出現せよ」

 その合図で左手の甲に金色に輝く魔法陣が現れる。

「え……、これは?」

「ちょっと見せてくれるかい? うん、予想通りだな。しかし、こりゃまた酷いなぁ……」

 私の手の甲を見ていた団長様が苦笑した。
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