落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
「キャン、キャンッ」

 ジャックは苦しかったのか、鳴いてから身体をぶるっと振った。

「あ、ジャック。ごめんねっ」

 私はライオネル様から離れ、恥ずかしくて顔を伏せた。

「あの、すみません……」

「あまり一人で無茶はするな」

 ライオネル様は大きく息を吐いた。口調が厳しい。
 うわ、これって怒ってる?

「はい……、ごめんなさい」

「まぁ、いい。帰るぞ」

「はい」

 立ち上がると右足に痛みが走る。さっき魔物の蔓に捕まった時に捻ったのかもしれない。

「ん? どうした?」

「あ、いえ……」

 歩くと痛いのでどうしたらいいかと悩んでいると、

「嫌かもしれないが、我慢しろ」

 身体がふわりと宙に舞った。ライオネル様に横抱きに持ち上げられたのだった。

「え? あ、わっ、私、大丈夫です! 歩けます!」

「はぁ、歩いていたら日が暮れる」

「ですがっ」

「犬を落とさないようにしっかり持ってろ」

 ライオネル様は有無を言わせない雰囲気だ。私を抱えたまま歩き出したので、大人しく従うことにした。

「はい……」

「神殿に着いたら、治療してもらえ」

「はい……」

 神殿に着く前に、心臓発作で天に召されてしまいそうだわ。

 きっと真っ赤になっているだろう顔を見られないように、私は温かい白いモフモフに顔をうずめた。
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