落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 …………。
 どのくらいこの場に座り込んでいたのだろう。
 気がつくと二人の姿は無かった。

 ダメだわ、私。しっかりしなくちゃ。
 私は自分の頬を両手でパンッと叩く。

 なんでシャーロット様が私の代わりに、買い出しに行くなんて言い出したのか。
 取り巻きの二人が話してた手紙っていうのも気になる。
 とりあえず、ライオネル様とシャーロット様が帰って来たら、話をしてみよう。

 そう思って待っていると、二人が戻ってきたようだ。
 私が立ち上がって、二人の元に駆け寄ろうとした時だった。
 シャーロット様がライオネル様に寄りかかり、抱き締めあう二人の姿を目撃してしまう。
 シャーロット様は頬を紅く染め艶やかに微笑み、その姿を見つめるライオネル様。

「――っ」

 私はひゅっと息を呑んで、その場から動けなくなった。

 二人は別れ、シャーロット様がこちらを振り向いたので、慌てて木の陰に隠れる。彼女は私には気付かず、本殿の方へ向かっていった。
 
 いま……のは……?

 今見た二人の姿が、どんなに消し去ろうとしても脳裏から離れない。

 シャーロット様から漂う色香は、同性の私から見ても魅力的に感じる。
 ライオネル様もやっぱり色気のある女性が好きなのかな? いや、嫌いな男性なんていないよね……、きっと。
 私は自分の貧相な身体を見つめ、ため息をついた。

 ライオネル様が誰を好きだとしても、私の気持ちは変わらない。それでいいはずなのに。
 心の奥から鬱々とした気持ちが溢れて、止まらなかった。

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