落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
「ちょっと、暴れないでよっ」
「そうよ。大人しくしてれば、痛いことはしませんわよ」

 耳元で聞こえてきたのは、聞き覚えのある声だ。

 この声ってシャーロット様の取り巻きの二人!? どういう事なの!?

「それにしても、あの手紙は本当だったようね」
「まさか、この子とライオネル様が会っていたなんて信じられませんでしたけどぉ」

 二人は私を拘束したまま話を続けている。

 ゾクッと背筋が凍った。
 ライオネル様と会っていたことが知られている!?

「あ、ライオネル様がいらしたわ」

 その声に裏門の方を見ると、鉄門扉の隙間からライオネル様の姿が確認できた。

「ん〜っ、ん〜っ」

 必死に声を出すが、もっと強くハンカチで押さえつけられる。

「アイリス、あなたは必要ないですわ。ライオネル様とは私がご一緒しますのよ!」

 私の目の前に、身体のラインを強調したような妖艶な深紅のドレス姿のシャーロット様が現れた。
 彼女は私の持っていた買い物の籠などを奪うと裏門の方へ歩いていく。

「ん――っ」

 シャーロット様を追いかけようとするが、二人に腕をガッチリと掴まれ身動きが取れない。
 ライオネル様とシャーロット様は会話を交わし、そして二人の姿は見えなくなった。

 ウソ……。行っちゃった……。

 私はその場で崩れ落ちると、取り巻きの二人はようやく手を放す。

「追いかけようとしても無駄よ。ライオネル様だって、あなたといるより、シャーロット様のような美女の方がいいに決まっているわっ!」

「そうよ! 本当にお似合いの二人ですわぁ」

 二人が頭上で何か言っているが、なにも耳に入って来なかった。

 
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