戦火に散った町娘は、敵国の皇太子に奪われて
「金髪で胸があるとなると……高い金で売買されるか」

その言葉が、やけに生々しく耳に残る。

周囲のざわめきよりも、その声だけがはっきりと響いていた。

「さあて、次は――250以上の者はいるか!」

商人が高らかに叫ぶ。

「300!」

人混みの奥から声が上がる。

まだ上がるの⁉ 心臓が跳ね、息が詰まりそうになる。

数のやり取りが、命の値段のように突きつけられる。

鎖の冷たさと、見知らぬ男たちの熱い視線が、皮膚を這うように絡みついた。

逃げられない――そう思った瞬間だった。

「――500で買おう!」

その声は、広場の喧騒を一瞬で凍らせた。

高らかに響いたのは、先頭の馬に跨る男のものだった。

彼はゆっくりと懐から金貨の袋を取り出し、家臣に手渡す。

家臣はそれを受け取ると、無言で奴隷商人の前に差し出した。

中身を確認した商人の目が、金の輝きにいやらしく細まる。
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