戦火に散った町娘は、敵国の皇太子に奪われて
「この町は栄えているから、新しい生活には相応しい。」

アレク殿下は、窓の外の賑わいを一瞥しながら穏やかに言った。

暖炉の灯りがその横顔を照らし、影が頬をやわらかく縁取る。

私は、胸の鼓動を抑えられないまま、その横顔を見つめた。

「その……あなたを追いかけてきたの。」

言葉が落ちた瞬間、周りの騎士たちが一斉にこちらを見た。

「ひゃあ……」と誰かが小さく感嘆ともからかいともつかぬ声を漏らす。

アレクは少し目を見開き、私を見据えた。

「俺を?」

その声は驚きと、わずかな探るような響きを帯びていた。

「自由にしていいって、言ったでしょう?」

自分でもなぜそんなに素直に言えたのか分からない。

けれど、それが私の本心だった。

するとカリムが笑みを浮かべながら椅子を持ってきてくれた。

「どうぞ。皇太子殿下の隣へ。」

その気遣いに少し頬が熱くなる。
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