戦火に散った町娘は、敵国の皇太子に奪われて
「……はい。」

自然とうなずいていた。

「やれやれ、皇太子殿下が飲み明かすってことは、俺も付き合わないとね。」

カリムがわざとらしく肩をすくめ、ため息をつく。

その横顔には、からかうような笑みが浮かんでいた。

暖炉の火がぱちぱちと音を立て、ビールの泡が静かに弾ける。

不安でいっぱいだった夜が、少しずつ柔らかく溶けていくのを感じた。

ここ数日の疲れと、ビールの柔らかな酔いが重なったのだろう。

気づけば、まぶたが重くなり、こくりと首が傾いていた。

「ベッドに寝かせますか。」

カリムの声が、遠くから響くように耳に届く。

その時、静かに立ち上がったのはアレク殿下だった。

「一人で……歩けます……」

自分でも驚くほど情けない声が漏れる。

「遠慮するな。」

短くそう言うと、ためらいなく私の体を抱き上げた。

胸の奥に熱が広がる。
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