戦火に散った町娘は、敵国の皇太子に奪われて
その想いが胸に溢れ、抑えきれずにアレク殿下の体を抱き寄せた。

鎧越しに伝わる固い感触と、内に秘められた体温が切ないほどに近い。

「……私はあなたの物です。」

震える声は、自分でも驚くほど必死だった。

アレク殿下の蒼い瞳がわずかに揺れる。

そして、短く吐き出された言葉。

「……奴隷にする気はないと、言っただろう。」

胸の奥がきゅっと締め付けられる。

届かない想いに触れた時、こんなにも息が苦しくなるものなのか――

切ないとは、このことを言うのだろう。

「せめて……眠るまで一緒にいて。」

掠れた声でそう頼むと、アレク殿下はしばし黙って私を見つめた。

そして静かに鎧の留め具を外し、音も立てずにベッドへと上がる。

横に寝そべった彼は、ためらいなく腕を差し出し、私をその中へと招き入れた。

硬いはずの上腕が、不思議なほど安らぎをくれる。

その温もりに包まれた瞬間、胸の奥がじんわりと熱を帯びていく。
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