戦火に散った町娘は、敵国の皇太子に奪われて
アレク殿下の唇が、そっと私の唇に触れる。

熱が伝わり、呼吸が重なっていく。

次いで首筋へと吐息がかかり、肌が微かに震えた。

指先が衣の紐を解き、服が肩から滑り落ちる。

包み込むような大きな手が胸元に触れた瞬間、息が漏れる。

「ああ……」

低く甘い音が、静かな部屋に溶けていった。

今、この世界には彼と私だけがいる――そう錯覚するほどに、夜は深く、熱を帯びていく。

アレク殿下の体温が近づき、すべてを覆い尽くそうとしていた。

そして――アレクの熱が私の体に触れた瞬間だった。

思わず、体がぎゅっと強張る。

「……もしかして、初めて?」

低く落ち着いた声が、耳元で囁く。

「はい。」

視線を逸らしながらも、正直に答えた。

男を受け入れるのは初めて。

けれど――アレクなら、いい。

そう思ったのだ。

しかし、アレクは次の瞬間、私を力強く抱きしめた。

「……奪えないよ。結婚できなくなるだろ。」
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