戦火に散った町娘は、敵国の皇太子に奪われて
「……マゾか。」

まるで私の中の秘密を見透かしているような二人のやり取りに、心臓がうるさく跳ねた。

私の中で、静かに恋の火が灯った。

言葉を交わすたびに、その火は少しずつ大きくなっていく。

笑った顔、真剣な横顔、誰かを思いやる優しさ——知れば知るほど、胸の奥が温かくなるのを感じた。

その姿を見て、声を聞いて、ときに冗談を交わして。

それだけで、きっと私は幸せなのだ。

「アレク。」

呼んだ名は、私だけの秘密の祈りのように震えていた。

彼が優しく見つめ返してくれる。その視線に、胸の奥の不安も迷いも溶かされていく気がした。

「ずっと側にいてもいい?」

恐る恐る口にした言葉は、恋ではなく願いの形をしていた。

するとアレクは、そっと私を抱き寄せた。

広い背中に身を預けると、胸の奥に灯った小さな火が、一気にあたたかな炎となって燃え広がる。

「飽きるまで一緒にいろ。」

耳元で囁かれた低く甘い声が、私の心を深く深く安心で満たした。

その瞬間、叶わぬはずの恋が、ほんの少しだけ現実に近づいた気がした。
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