戦火に散った町娘は、敵国の皇太子に奪われて
その日もアレクは鍛錬場に姿を見せていた。

汗で髪を額に張りつかせながら、誰よりも真剣に剣を振るう姿。

皇太子という立場に甘えることなく、あくまで一人の戦士として列に並ぶ。

彼は決して上から人を見るのではなく、仲間と同じ目線で稽古を積んでいた。

「殿下!もっと早く剣を構えて!」

叱咤する騎士団長の声に、アレクは「おお!」と返し、すぐさま構えを正す。

その実直な態度は、彼を慕う騎士たちの心を自然と掴んでいるのだろう。

実践形式の打ち合いでも、皇太子としてではなく、ただの若き剣士として仲間に混ざり、互いに剣を打ち合わせていた。

「見ていて、飽きませんか?」

傍らに立つ騎士団長が、気遣うように私へ声をかけてくる。

私は小さく首を振り、微笑んだ。

「いいえ。むしろ、ずっと見ていたいくらいです。」

剣を振るう彼の姿は、誰よりも眩しく、そして誇らしかった。
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