戦火に散った町娘は、敵国の皇太子に奪われて
思わず隣の女に問いかけた。

顔色は土のようにくすみ、唇は乾ききっていた。

彼女はゆっくりと私を見、諦めきった目で答えた。

「性奴隷にされるのさ。」

耳に刺さるその言葉に、息が詰まる。

「性……奴隷?」

「買われた旦那に、毎日“性のご奉仕”だよ。」

淡々とした口調が、逆に重く心に沈んでいく。

その瞬間、胸の奥に鋭い痛みが走った。

この時ほど、自分が女であることを、これほどまでに屈辱だと感じたことはなかった。

汗ばむ手のひらを握りしめ、鎖の冷たさを忘れようとしても、金属の感触が私を現実に引き戻す。

翌朝、私たちは荒々しい声で建物の外へ出るよう命じられた。

足首の鎖は夜露に濡れ、さらに重く冷たくなっている。

一歩動かすたび、鉄が石畳を擦る音が耳にこびりつき、歩くというより引きずられるようだった。
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