戦火に散った町娘は、敵国の皇太子に奪われて
「殿下、わたくし、この国の夜会がこんなに素敵だとは思いませんでした。ぜひまた、ご一緒に。」

ミーシャ姫が甘えるように言うと、周囲の令嬢たちがざわめいた。

「もちろんだ、姫。」

アレクは微笑んだ。

その姿が、遠目にも絵になるほど美しく見えた。

胸が痛む。きっとミーシャ姫はアレクを気に入ったに違いない。

そしてアレクも――いや、そんなはずはない、と思いたいのに。

私には、アレクがミーシャ姫の手を取るたび、二人がまるでお似合いの婚約者に見えてしまった。

舞踏会の喧騒が遠ざかる。最後までアレクの隣にいたのは、やはりミーシャ姫だった。

その光景がまぶたに焼きついて、どうしても振り払えない。

「……別にいい。殿下には姫君の方がお似合いなんだから。」

そう口にしてみても、胸の奥はちくりと痛んだ。

拗ねた心を抱えたまま、自分の部屋に戻るはずだった――けれど、足は自然と別の方向へと向かっていた。
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