戦火に散った町娘は、敵国の皇太子に奪われて
「……ああ。」アレクは頷く。

「どんな方か……見てみたいものですね。殿下のお心を奪ったご令嬢を。」

――その瞬間、布団の中で心臓が飛び跳ねる。

(やだ、聞かれてる!隠れなきゃ!)

ところがアレクは、口元に笑みを浮かべながら言った。

「イレーネ、見せてやったらどうだ。」

「うわっ!」

布団の中で思わず声を上げてしまった。

「イレーネ⁉」

マリアの驚きの声が部屋に響く。

私はそっと布団から顔を出した。

マリアの目は大きく見開かれ、信じられないものを見たという顔をしていた。

「イレーネ……本当にイレーネなの?」

マリアの声は震えていた。目には驚きと戸惑いが混じっている。

「すみませんっ!」

思わず布団の上に飛び出し、頭を床に擦り付けるように土下座してしまった。

「……アレク殿下がお選びになったのなら、仕方ないでしょう。」

静かにそう言ったマリアの言葉に、胸がきゅっと締め付けられる。
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