戦火に散った町娘は、敵国の皇太子に奪われて
(怒られる……叱られる……)そう思って顔を上げると――。

「マリア……」

彼女の口元に浮かんだのは、優しい笑みだった。

「想いが叶ってよかったですね。」

涙が込み上げて、私はマリアにしがみついてしまった。

「ありがとう、マリア……!」

マリアはそっと背を撫で、微笑んだ。

「しっかりお仕えするんですよ。殿下の侍女としてではなく、殿下の伴侶として。」

その言葉が、何よりの祝福のように胸に響いた。

そしてその日から、私はアレクの恋人として、一緒にお風呂に入ることになった。

今までは侍女として、薄着のまま彼の身体を洗っていただけ。

けれど――今日は違う。

「イレーネ。」

アレクが私の肩に手を置き、そっと衣を脱がせてくれる。

「……恥ずかしい。」

顔が熱くて、思わず両腕で胸を隠した。

「何を今さら。昨日、全部見せてくれただろう?」

からかうような声に、耳まで赤くなる。
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