戦火に散った町娘は、敵国の皇太子に奪われて
やがてアレクは桶ですくった湯を髪にかけてくれた。

その温かさとともに、肩を撫でられる。

お湯をかけられているだけなのに、まるで抱かれているみたいに恥ずかしい――でも幸せだった。

「わ、私も……アレクを洗ってあげる。」

覚悟を決めて布に石鹸を泡立て、彼の肩にそっと滑らせる。

たくましい筋肉に触れるたび、指先まで熱くなる。

すると突然、アレクが私を抱き寄せ、胸に顔を埋めてきた。

「イレーネの胸……俺は好きだ。」

かぁっ……!っと、頭まで一気に真っ赤になる。

まるで子供が甘えるみたいで、でも言葉はあまりに大胆だった。

「そ、そんなことされたら……体を洗えません……」

必死に抗議すると、アレクは笑って「そうだったな」と言った。

けれどその手は止まらない。背中をなぞり、腰まで滑ってくる。

「アレクっ……!」

声は叱るようでいて、どこか甘えてしまっている。
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