戦火に散った町娘は、敵国の皇太子に奪われて
彼の指先が触れるたび、洗うどころではなくなってしまった。

「抱いてもいいか、イレーネ。」

低く落ちる声に、胸がドキッと跳ねた。

「……アレクの好きなように。」

囁くように答えると、アレクはすぐに私をぎゅっと抱き寄せる。

「イレーネにも……俺を欲しいと言ってもらいたい。」

熱を帯びた瞳に射抜かれ、胸が震えた。

私は両腕を回し、アレクを強く抱きしめる。

「私はいつでも、あなたが欲しいの。」

その言葉に、アレクの顔がほころび、深く口づけを落とされた。

「んん……」

唇を重ねるたび、体が熱に疼き、息が苦しくなる。

自然と背中が反り返り、熱にあわせるように足が開いてしまった。

「アレク……」

その姿に、アレクの喉がゴクリと鳴る。

瞳は理性を失いかけ、私を丸ごと飲み込もうとする獣のように輝いていた。
< 82 / 83 >

この作品をシェア

pagetop