私の居場所は、先生の隣!
 そのとき、外階段の下から足音が聞こえた。

 コン、コン、と一定のリズムで響く革靴の音。

 顔を上げると、街灯の薄明かりの中、スーツ姿の長身がゆっくりと階段を上ってくる。

 「……え……」

 息を呑む。

 目が合った瞬間、足がすくんで動けなくなった。

 「……森川?」

 低く落ち着いた声。

 驚きと困惑が入り混じった表情で、皆川先生は数段下から私を見上げていた。

 「あの……」

 あの場所から逃げたしたい……その気持ちが先だって、何を話していいか決めてなかった。

 先生は私の顔をじっと見てる。

 よくよく考えてみれば、生徒をこんな時間に自分の家にあげるのは、

 立場上まずいかもしれない……そう思い至ったのは、先生の顔を

 間近で見てから。

 家に帰されるか、連絡されてお父さんが迎えにくるか。

 それだけは嫌!

 「……入れ」

 「⁈」

 予想に反して、先生はそう言って部屋のドアに鍵を差し込んだ。

 建付けの悪い木製のドアが、ギイ……と、音を立てて開いた。


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