亡国の聖女は氷帝に溺愛される
オヴリヴィオ帝国の象徴とも云えるこの巨大な城には、城門と居館の間に美しい庭園がある。年に一度、その年の作物の実りに感謝を捧げるために、庭園を開放して民を招く行事の日以外では、庭師の立ち入りしか許されていない。
だが、今回は特別に許しが出た。ダメ元で願い出たところ、ヴィルジールが「構わない」と返事をしたのだ。
付き添いのセルカとともに、ルーチェは庭園の門を開けた。鍵はつい先ほど、エヴァンから手渡されたものだ。
「庭園に来て、何をするつもりだ?」
ヴィルジールの命で護衛として来ているアスランが、なんとも言えない顔でルーチェを見ている。
ルーチェは花図鑑から写した花の絵を手に、辺りを見回しながら歩いていた。
「ウィンクルムの花を探しているのです。種があったら、庭師の方に分けてもらおうかと」
「ウィンクルム? 年中そこら辺で咲いてるあの花を育てたいのか?」
城下の花屋に行って買った方が早い、とアスランが鼻で笑う。ルーチェは頬を膨らませながら、歩く速度を上げた。
「買ったものでは意味がないのです」
「どうして意味がないんだ?」
「それは、内緒です」
「……まさか花探しのために、俺を寄越したんじゃないだろうな」
アスランががっくりと項垂れている姿が新鮮で、ルーチェは笑った。
だが、今回は特別に許しが出た。ダメ元で願い出たところ、ヴィルジールが「構わない」と返事をしたのだ。
付き添いのセルカとともに、ルーチェは庭園の門を開けた。鍵はつい先ほど、エヴァンから手渡されたものだ。
「庭園に来て、何をするつもりだ?」
ヴィルジールの命で護衛として来ているアスランが、なんとも言えない顔でルーチェを見ている。
ルーチェは花図鑑から写した花の絵を手に、辺りを見回しながら歩いていた。
「ウィンクルムの花を探しているのです。種があったら、庭師の方に分けてもらおうかと」
「ウィンクルム? 年中そこら辺で咲いてるあの花を育てたいのか?」
城下の花屋に行って買った方が早い、とアスランが鼻で笑う。ルーチェは頬を膨らませながら、歩く速度を上げた。
「買ったものでは意味がないのです」
「どうして意味がないんだ?」
「それは、内緒です」
「……まさか花探しのために、俺を寄越したんじゃないだろうな」
アスランががっくりと項垂れている姿が新鮮で、ルーチェは笑った。